いざ、王宮へ

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いざ、王宮へ

黄金色の髪は白銀と緋色によく映える。 宮廷騎士団長様の輝きを纏って歩くクロードさんを、四方八方から飛び交う羨望と恋心を多分に含んだ視線が追いかけていた。 魅惑の騎士様シリーズは宮廷でも大人気らしい。 そもそも小説を読んでいなくても、容姿に恵まれ家柄に恵まれ財力に恵まれた男性を世の女性が放っておくはずもないが。 軽い会釈と優雅な微笑み。 胸を張る凛とした姿や洗練された所作の一つ一つは、朝から見るのをためらっていたわたしももれなく悩殺されそうになる。 王宮は沢山の人達が行き交っていた。 鎧を纏った勇ましい男性や貴族と思われる派手で華やかなご婦人や紳士、どの方達もクロードさんに道を譲りながら頭を下げるのは、言わずもがな彼の身分の高さを象徴している。 彼の威光のおかげで、背後に続く棒切れを片手にした怪しい黒い物体は誰の目にも入らず、一際いかつい門番を両わきに従えた金ピカの扉の前に到着。 「クロードさんクロードさん。アルディさんが見あたりません。広いから迷子にでもなったのでしょうかね?」 「心配ない。あそこに居る」 おお、本当だ。 遠過ぎて豆粒ほどの大きさになっているが、何やら4、5人の女性陣に囲まれて楽し気にお喋りしているではないか。 何だアレ。何だあの顔は。せっかくのつり目を下げおってからに……見えてないけれど雰囲気がそうだ、と決め付ける。
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