2 ドラゴンの国

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 そこでチェリィは目を覚ましました。  卵を大事に抱き抱え、森の中で眠っていたのです。ジミーとレインもすぐそばで目を覚ますところでした。 「今のはなんだったの?」  三人は首を傾げました。  先程かわしたドラゴンさんとのやり取りはまさかの夢オチだったのでしょうか。  けれど辺りの様子はさっき見たものとよく似ています。知らない植物が生えていて、見覚えのない風景です。  やっぱりここはみらくる村の森ではありません。  なにがなんなのかわかりませんでしたが、いつまでもここにいるわけにもいかないので三人はとにかく歩き出しました。  当てずっぽうにさまよっていたら程なくして森を抜けることができました。小高い丘の上へ出たチェリィ達はそこに広がっていた景色に驚きます。  丘からは大きな町が見下ろせたのです。  レンガ造りの建物がぎっしりと並んでいて、石畳の道があちこちへ続いています。目測ではハートロウズの城下町よりも広いように見えました。 「なにあそこ! 都会!」  初めて見る大きな町に田舎者三人は戸惑います。 「早く行ってみましょうよ!」  興奮を隠しきれずにチェリィは叫びました。  落としたら大変なので袋の中の卵を大切に抱え直すと、他の二人を急かして町へ向かって走って行きました。
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