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門をくぐった三人はあまりの人の多さにめまいがするほどでした。
大都会、超都会、びっくりするほどの都会。
チェリィの頭ではしょせんその程度の形容しかできませんでしたが、たくさんの大きな建物に囲まれた賑やかな町は彼らの胸を高鳴らせました。
いくつもの店が並び、高い回路樹の間からは秋の光が差し込んできて大勢の人々が行き交う道に降り注いでいます。
あんまりキョロキョロすると田舎者に見られるのでしょうが、そんなもんに構ってなんぞいられません。
しばらくの間都会の光景を堪能し、やがて我に返ったチェリィは二人に尋ねました。
「これからどうしましょうか?」
「いきなりこんな場所に放り出されちゃったわけだものね。となるとやることは一つだよ」
「なんか食いに行くとか?」
そろそろ小腹が空いてきたらしいレインです。まったく別のことを言おうとしていたジミーは困りました。
「いやあの、そうじゃなく」
さてどうやって話を切り出そうかとジミーは考え、その一瞬の油断のせいで彼は前から歩いてきた人にぶつかってしまいました。
「わっ、ごめんなさい」
咄嗟に謝ったジミーは相手の姿を見てぎょっとしました。例の赤いローブを着ている人だったのです。
ジミーの頭の中は焦りでいっぱいになり、どきどきしながらチェリィ達はその様子を見守っていました。
「どこ見て歩いてんのよ!」
恐る恐る顔を上げてみると、相手はちょっとキツめのお姉さんでした。若干苛立っているようですがこちらに敵意はなさそうです。
「ちょっとぉ、早くしてよね」
少し離れた場所から同じローブを着た女性が急かしていました。
「ごめーん今行くー!」
そのまま相手は去っていき、人混みの中へ消えていきました。
「え、どういうこと? もしかしたらこの国ではああいうファッションが流行っているのかしら?」
「そんな馬鹿な」
ホッとしつつもジミーはそう答えました。
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