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「あの、私ったらぼーっとしていて。申し訳ございません」
取り乱してはいるものの彼女は上品な物腰です。
この子きっと本物のお嬢様だわと、様子を見ていたチェリィの第六感がささやきました。
「そこのあなた、妹になにをしていますの!」
そこへもう一人女の子が走ってきました。
新しく出てきた少女はもう一人の方と同じようなデザインの服を着ており、そして驚くくらいにそっくりな顔をしておりました。違いがあるとすれば勝気そうな表情と服の色、髪の毛をまとめている位置が逆になっていることくらいです。
なにもしていないのに突然出てきた少女に怒られて、レインはすごく理不尽な思いをしました。
「変態、痴漢、獣物!」
一方的に言うと少女はもう一人を連れて走り去っていきました。
さっきレインとぶつかった方が何度か振り返って彼のことを見ていましたが、そのまま二人の姿は見えなくなりました。
かなり辛辣な言葉を浴びせられ、レインはどうすればいいのかわかりません。
「さすが都会ね、変な人達がたくさんいるわ!」
田舎にも変な人達は十分いますがチェリィは無駄に感動しました。
「ま、そんなことよりこれからどうするかを考えないとね」
ここですかさず現実的な思考の持ち主ジミーは言いました。
「僕達にはお金もないし頼れる相手もいないから、まずはその辺のことをどうにかした方がいいんじゃないかな」
もっともな意見を尊重して、一行は迷子の観光客という体でその手の施設を探すことにしました。
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