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3 気になる出来事
なんやかんやあって神殿の中に通されたチェリィ達は、さっき出会った神官さんのご厚意でゆったりとした客室に案内されました。
ふかふかソファーに並んで腰かけ、おいしい紅茶とクッキーをいただきます。
こんなところで母の知り合いに会えるなんて思ってもみなかったことです。
エイミーなんてよくある名前なので、ひょっとしたらこの人は同じ名前の別人のことを言っていたのかも知れないと思い、単刀直入に聞いてみたのです。
そのエイミーというのはハートロウズを救った英雄のことなのか、と。
チェリィの考えた通りこの人は母のことを言っていたことがわかったので、さっそく詳しい話を聞くことにしました。
「自己紹介がまだだったわね。あたしはチェリィよ。こっちの子がお隣さんのジミーで、こっちがお母さんの弟子のレインよ」
「なんと、エイミー様の弟子とは」
意外そうな反応を見せられてレインは思い出しました。エイミーが弟子をとることは今まであり得なかったそうなのです。
詳しいことを何度か本人に尋ねたことがありますが、エイミーは曖昧に笑うだけでしたし、レインはちょうどクッキーをもぐもぐしていたので、このことについて特に言及はしませんでした。
「申し遅れました。私はこの神殿の大神官を務めている者です」
相手がめっちゃ偉い人だったということがわかり、それまで馴れ馴れしい態度を取っていた三人はちょっと青くなりました。
でも大神官さんは偉い人なのにフレンドリーな態度で接してくれて、緊張するチェリィ達にも朗らかな笑顔を見せてくれました。
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