11人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
相手の大物ぶりに感動しつつもチェリィは質問をしてみます。
「ねぇ大神官さん、お母さんはこの国でも有名人だったの?」
「おや、エイミー様から聞いておりませんでしたか? この国はエイミー様の生まれ故郷なのですぞ」
そんなの初耳だったのでチェリィはビックリして紅茶をこぼしそうになりました。
ここが母の出身地だったことも驚きでしたが、昔のことについて母が何一つ教えてくれなかったことそのものがチェリィの心をモヤモヤさせてきます。
なんでもエイミーは子供の頃からあらゆる魔法を使いこなし、そして国の守り神であるドラゴンと心を通わすことができた神童だったそうです。
母は昔から素晴らしい人だったということを知ってチェリィは少し誇らしい気持ちになりました。
「エイミー様は歴代の巫女の中でも特に強い力を持っておられた」
ここで新たなワードが出てきたのでチェリィは身を乗り出します。
「巫女って?」
「ドラゴンと話すことを許された存在です」
そんなもん許されていないのにチェリィ達はさっきドラゴンさんと話をしてしまいました。
でもきっとその辺のルールは人間側の方が決めたことに違いないと勝手に解釈し、会話を続けることにします。
「そういえば、さっきこの神殿にも女の子が入って行ったね」
そのなにげないジミーの呟きにチェリィはちょっとぶるりとします。
「それは今の巫女シルヴィア様です」
「シルヴィア」
あの少女の名前を囁き、チェリィは無意識の内に自分の肩を抱いていました。
なぜかはわかりませんがあの子のことを考えただけで怖くなってしまうのです。
「ところであなた方はなぜこの国に?」
「あ、そうそう実はね」
チェリィ達は事情を簡潔に話しました。
最初のコメントを投稿しよう!