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赤いローブの人達に襲われたことや卵を託されたことなど、これまでの出来事をあらかた説明し終えると、大神官さんはなんだか意味深な表情になりました。
「まさか、こんなことになるなんて」
「どういうことなの?」
「実を言うとその卵は元々この神殿で管理していたものなのですが、先日襲ってきた賊に奪われそうになったのです。私は部下に卵を安全な場所、つまりエイミー様の元へ運ぶように命令したのですが」
そこまで聞いたチェリィ達は三人揃ってなんてこったいと思いました。
安全な場所どころか持って帰ってきてしまうという、余計なことをしてしまった感の半端なさに気まずくなります。
「その賊ってのは赤いローブの人達よね、なんで捕まえないの? 町を堂々と歩き回っていたわよ」
「彼らが犯人であるという目途はついているのですが、暗がりで姿がよく見えなかった上に証拠を残さなかったので手を出せない状態なのです」
「そんなもん、なんか適当にでっちあげればいいだろ」
おもむろに口を開いたかと思いきやとんでもない案を出しやがるレインです。
万が一チェリィがこの意見に乗り気になったらいけないので、ジミーは慌てて言いました。
「そもそもあの人達は何者なのでしょうか?」
「数年前に設立された宗教団体のようです。なんでも、この世界を変えるほどの力を持つ女王とやらを崇めているとか」
女王という言葉にチェリィとジミーはお城に住んでいる豪華なドレスを着た貴婦人を思い浮かべ、レインは仮面をつけて鞭を持っているセクシーなお姉さんを思い浮かべました。
あの人達が普段どんな活動をしているのかは謎でしたが、マナーの悪い信者が公園でポイ捨てをしたり酔っ払って喧嘩をしたりという迷惑な行為はするものの、意外にも大きな事件を起こしたことはないそうです。
ですが彼らはこの国だけでなくあちこちの土地に出没しているらしく、なにがそんなに魅力的なのかはわかりませんが短期間の内にどんどん勢力を広めていっているのです。
二年前にみらくる村で面倒事を起こしたこともありますし、得体のしれない集団なだけに警戒しておくに越したことはありません。
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