3 気になる出来事

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「あの人達に気を付けるのは当然として、問題はこれからどうするかね。あたし達いきなりよその国へ放り出されちゃったわけだし、なにか元の国に帰る手立てはあるのかしら?」 「それでしたら、港から船が出ております。ハートロウズへ帰れるように船を手配しておきましょう」  なんとも都合の良い展開のおかげであっさりとおうちに帰ることができそうです。  一同はホッと胸をなでおろしましたが、チェリィはそこでハッとしました。 「あ、ちょっと待って! 帰るのはまだいいと思うの。卵がかえるまでこの国で面倒みましょうよ」  当然ジミーもレインもこの発言に驚きました。チェリィは真剣な面差しで二人に説明をします。 「たぶんだけど、あのドラゴンさんはあたし達がここで元の国に帰るのを望んでいないと思うの。なにか大きな理由があってあたし達をこの国へ呼んだんじゃないかしら」 「根拠は?」  レインが尋ねました。 「そんなのないわよ」 「漠然とした考えで言うなって。こんな厄介な物、また神殿で管理するべきだろ」 「確かにそうなんだけど、ドラゴンさん直々に卵とこの国のことを頼まれちゃったのよ。孵化するまではここにいた方がいいと思うの」 「ああそう」  ぞんざいな返事にチェリィはむくれます。 「嫌ならレインは帰ればいいじゃない。あたし一人でも、ううん、あたしとジミーの二人だけで頑張るから!」  なぜかジミーには選択権がありません。  レインはこの決断に呆れつつも、家に帰りたくない事情があるので彼女に付き合うことにしました。 「あなた方がそこまで言うのなら、私も出来る限りのお手伝いをさせていただきましょう」  話の分かる大神官さんにチェリィは心から感謝しました。  けれどいきなりこんなことになってしまったので村の皆は心配していることでしょう。後で無事を知らせる手紙を出さなければいけません。 「ですが、一つ伝えておかねばならぬことがあります。この国には今、ドラゴンの祟りが起こっているのです」 「祟り? ここはドラゴンに守られている国なんでしょ?」 「ええ。ですがここ最近大変な騒ぎが起こっているのです。突然人が行方不明になったり、街中で爆発が起こったこともありました」  ここに留まろうと決めた矢先にとんでもなく物騒な話題が飛び出してきました。
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