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その夜は大神官さんの手配してくれた宿で過ごすことになりましたが、チェリィは求めていた答えを出してもらえなかったことを不満に思っているのかいつまで経ってもぶーぶー文句をたれていました。
「なんで教えてくれなかったのかしらね」
ご機嫌斜めのチェリィをなだめるような口調でジミーは言いました。
「たぶん、なにかデリケートな問題に踏み込もうとしたからだよ」
「そんなこと言われるとますますお母さんがどんな過去を持っていたのか気になっちゃうじゃないの」
「なら、他の住民に聞いてみるとか?」
ベッドの上でごろごろしていたレインが提案を出しました。
「師匠はこの国の出身なんだろ。昔のことを知っている奴は多いと思うけど」
「お母さんと仲の良かった人とか?」
「そういう人間はむしろ教えてくれないからもっとデリカシーがない相手を捜さないと」
変なことを吹き込まれたらなにかと厄介なのでジミーは止めに入ろうとしましたが、それより先にレインはこう続けました。
「で、そうまでして知りたいと?」
「え? うーん」
あえてその質問をぶつけられたチェリィは口ごもってしまいました。
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