11人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
馬車の中でお菓子をもらい、過ぎていく景色を眺めながら朗らかな気持ちで色々なお喋りをしました。
「チェリィちゃんったら本当に昔のエイミー様にそっくりだわ」
「嬉しいわ、あたしも将来お母さんみたいな美人になれるかしら?」
お菓子をもぐもぐしながらレインはその会話にしけた表情になりました。
「そうだブラウンさん、昨日大神官さんにお父さんのことを聞いたんだけどなにも教えてもらえなかったの。どうしてかしら?」
ブラウンさんの表情は昨日の大神官さんと同じように、なにか言い辛そうなものに変化しました。
「い、言えないことだったら無理には聞かないけど、けど」
チェリィは不満げな顔で上目遣いにブラウンさんを見つめます。
この不満が突然爆発してしまったらどうしようかと、隣にいるジミーはちょっとはらはらした様子です。
「せめて、どうして教えてもらえないのかその理由だけでも知りたいわ」
「チェリィちゃんが気を悪くしたらいけないからよ」
「どういうこと?」
「その、チェリィちゃんのお父さんはね、この国ではあまり評判がよくないのよ」
チェリィは驚きました。
「どど、どういうこと? お父さんって悪い人だったの?」
「そういうわけじゃないの。ただ、お父さんはこの国の人ではなかったのよ。よその人が巫女であるエイミー様と親しくなってしまったから、みんないい顔をしなかったのよ」
本当にそれだけの理由でしょうか。
チェリィには、他にもなにか大きな理由があるのではないだろうかと思えてなりませんでした。
もちろんそんなものはただの憶測に過ぎませんでしたが、チェリィは不安になってしまいます。
チェリィがぐずぐず悩みだしたので、ジミーは話題をそれとなく変えることにしました。
「ブラウンさんはエイミーさんのお世話をしていたんですよね。お仕事は家政婦さんなんですか?」
「昔はね。色々なおうちに住み込みをして子供の面倒を見たの。エイミー様もその一人よ」
そこでジミーはふと気付きました。
ここがエイミーの地元なら、当然エイミーの両親、つまりチェリィの祖父母に当たる人達もいるのではないでしょうか。
最初のコメントを投稿しよう!