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なぜその人達にチェリィの面倒を頼まずに元家政婦の女性に任せるのでしょう。連絡が取れなかったのか、なんらかの事情で断られたのでしょうか。
それまで無言でお菓子を食べていたレインも同じ疑問を抱いたのですが、チェリィがやかましくなるのは目に見えていたので黙っていることにしました。
当のチェリィも頭は悪くないので、その内この謎に気付いてしまうかも知れません。
エイミーについての話題は避ける必要がありそうだとジミーは踏みました。
「今はもう家政婦のお仕事はしていないのですか?」
「ええ、今は死んだ夫から継いだ飲食店を経営しているわ。小さなお店だけれど人気があるのよ。孫達も手伝ってくれるし」
お孫さんがいるとは初耳です。チェリィは目を輝かせながら身を乗り出しました。
「どんな子達?」
「ちょうどあなた達と同じくらいの年齢の双子の女の子よ。仲良くしてあげてね」
「ええ、会うのが楽しみだわ!」
うまい具合にチェリィの興味は両親のことからそれてくれたようです。
それからしばらくして馬車は白く塗られた可愛らしいお店の前で止まりました。
このお店がブラウンさんの住居兼仕事場だそうです。ドアには休業中という小さな札が掛けられておりました。
ブラウンさんについて建物の裏手に回ると、丁寧に刈られた芝と小さな花壇で彩られた綺麗な庭に出ました。芝の中に作られた白い砂利道の先がお店の裏口です。
建物の中はぴかぴかに掃除が行き届いており、壁と床は暖かみのある木目調になっています。
ついたばかりだというのにチェリィはさっそくこのおうちが気に入りました。
「二人とも、出ていらっしゃい」
ブラウンさんが奥へ向かって声をかけると、可愛らしい二つの足音が聞こえてきました。程なくして出てきたのは、髪の毛を頭の横で結び、エプロンドレスを着た娘さん達です。
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