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ともかくそんなこんなでチェリィ達の新しい生活が始まりました。
チェリィはブラウンさんや双子に合わせて規則正しい生活を送り、田舎とはまったく違う景色の中をジミーとデートしたり、時々はブラウンさんのお店を手伝うなどして充実した毎日を過ごしました。
ジミーもあっという間にこの生活に順応し、リューインは安定のテンションで、レインはいつも怠けていました。
要約するとみんなマイペースにこの生活に馴染んでいったのです。
そんなある日のことでした。
その日はお店がお休みなので、チェリィはブラウンさんとクッキーを作りながら仲良くお喋りをしていました。話題はチェリィの母、エイミーについてです。
子供時代のエイミーは優しくて真面目な少女でしたが、内気な性格で友達はほとんどいなかったそうです。
けれど一人、特別に仲の良かった女の子がいたという話を聞いてチェリィは目を輝かせました。
「それってどんな子だったの?」
「ちょっとツンとした感じの子だったわね。男の子にはそっけない態度を取っていたけれど、エイミー様には優しかったわ」
そこでブラウンさんはハッとして言いました。
「そうそう、レイン君にとてもそっくりだったわ」
突然名前を出されたので、すぐそこのテーブルでエリンカと一緒におやつのマドレーヌを楽しんでいたレインは不思議そうな顔をしました。マドレーヌを食べる手が止まったので少しはこの話題に興味があるようです。
「なに?」
「あなた、エイミー様のご学友だった娘さんにそっくりなのよ」
レインは微妙そうな顔になりましたし、チェリィもちょっと複雑な気分でした。
母の友達というのがどんな人なのか気になったのですが、よりによってレインに似ているとはこれいかに。
「なんていう名前だったかしら、魔法使いの名家の出らしくてね。それはそれは綺麗な娘さんだったのよ」
「ああそう」
いつものように適当な返事をしてから紅茶をすするレインをガン見し、チェリィは母の友達だったという少女の顔を頑張って想像しようとしました。
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