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「なぁ、俺達今から出かけるんだけど一緒にくる奴いない?」
「デート?」
チェリィの問いにアミンカは頬を染めました。
「と、と、殿方とでぇとだなんてそんなこと!」
「まぁ、相手がリューインだもんね」
さりげなくチェリィは失礼な言葉を放ちました。
そもそも実際にデートなのだとしたらこんな風に他の人間を誘うなんて野暮なこともしないでしょう。
「実はね、今から神殿へ行ってみようと思うんだ」
いつからそこにいたというのか、地味すぎて誰にも存在を気付かれなかったジミーがそう言いました。
いつもだったらお出かけをすることに楽しみを感じているチェリィですが、今回ばかりは嫌な予感を覚えます。
「なんであそこへ行くの?」
「最近祟りってのがあるんだろ、俺も巻き込まれたあれ。で、巫女が守ってくれるんだろ、なんか怪しいじゃないか」
リューインの勘は確かに一理ありました。
あの少女とこの国で起こっている祟りにはなにか重大な繋がりや秘密があるのではないかと、チェリィも漠然と感じていたのです。
「あとさ、お前らってドラゴンと会ったことあるんだろ。祟りを起こしているのってそのドラゴン? それとも別の?」
そう言われてみればどうなのでしょう。
そもそもドラゴンというのはあの一匹だけなのか、それとももっとたくさんいるのか。
仮に祟りが本当なのだとしたら、祟りを起こす悪いドラゴンとこの国を守ろうとする良いドラゴンの二種類がいるということなのでしょうか。
なんだか気になることだらけですが、あのドラゴンにもう一度お目にかかるのは難しそうに思えました。
それだったら神殿を調べてみる方が手がかりになりそうと言えばなりそうです。
それに今の巫女、シルヴィアのことが気になります。
今から神殿へ行けばちょうど巫女が祈りを捧げる時間に間に合うそうなので、怖々と行動に移すことにしました。
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