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一同はさっとレインの顔と肖像画を見比べました。少女とレインは驚くほど似ていたのです。
「罰ゲームかなんかで女装させられたの?」
チェリィは思わずレインに尋ねました。
「飲み会ではめ外したんじゃね?」
と、今度はリューイン。
ですがレイン本人はそれどころではありません。
「なんでこの人がここに?」
レインが呆然とそんなことを小さく呟くのが聞こえてきました。一体どうしたのかと彼の隣に並んでいたエリンカがはらはらし出します。
そこでブラウンさんは重大なことを思い出しました。
「そうそう、さっき話していたのはこの子のことなのよ! この子がエイミー様のご学友で、結婚するまでエイミー様の次の巫女としての役目を務めていたの」
「え、じゃあこの女の子がレインのお母さ」
「みなまでいうな」
それから時間もあったのでブラウンさんからレインの両親のラブロマンスについて聞きました。
レインの父は当時たいそうな男前だったとか、みらくる村から旅行に来ていた時に巫女だった母と偶然出会い、意気投合して周囲の反対を押し切って駆け落ち同然に結婚してしまったとか、その他いろいろな面白いエピソードを語ってくれました。
話を聞きながらレインはうつろな目をしていましたが、そこで彼はふと気付きました。
レインの母は巫女である身なのによその国からやって来た男と出会って結婚をしたとのことですが、では、チェリィの母エイミーは。
エイミーだって自分の両親と似たような事情の持ち主のはずなのに、なぜその夫のことを聞くとブラウンさんは口ごもってしまうのか。レインの父もチェリィの父親と似たようなことをしたのです。なのにこの差はなんなのでしょう。
やっぱりチェリィの父、あるいはエイミー自身になにか大きな問題があったので、ブラウンさんはこのことを詳しく語ろうとしないのでしょうか。
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