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そうこうしている間に祈りの時間になりました。
広間にぞろぞろと人が集まっていき、チェリィ達もその列についていきます。
縦巻きの黒髪を二つにまとめて、美しい法衣を身に纏ったその少女は静々と祭壇の前へやってきました。
年齢はチェリィと同年代といったところでしょう。彼女は驚くほど白い肌をしていましたが、小さな唇だけは血のように真っ赤です。長いまつ毛に縁どられた瞳が宝石のように綺麗なのがかえって不気味でした。
間違いなく美しい少女なのですが、なにか嫌な感じがします。相手がツンツンしていたというわけではなく、雰囲気が恐ろしかったのです。
その時になってチェリィは気付きました、彼女はまるで人形のように生気が感じられないのです。
参拝者の皆は彼女の姿を見て恍惚とした様子でしたが、チェリィだけは背筋がゾッとする感覚がしてガタガタ震えてしまいました。
「チェリィ、どうしたんだい?」
真っ先にチェリィの様子に気付いたジミーが小声で話しかけてきました。アミンカとエリンカも心配そうな顔をしますが、チェリィはどうしてだか巫女シルヴィアから視線を外すことが出来ません。
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