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眉一つ動かすことなくシルヴィアは優美な礼を取りましたが、一瞬だけ、チェリィは彼女に睨まれたような気がして「ひっ」という声をもらしてしまいました。
それ以上この場にいられなくて、チェリィは出口へ向かって駆け出しました。
「チェリィ!」
突然逃げ出したチェリィをジミーが慌てて追いかけてきました。
廊下に出てぶるぶる震えるチェリィの背中をさすり、ジミーは彼女の顔をそっと覗き込みました。
「どうしたの?」
「わかんない。でも、怖い」
今にも泣きだしてしまいそうな顔でチェリィはジミーの腕に縋りつきました。
「チェリィちゃん、どうかなさったの?」
ただ事ではないと察して二人の後を追ってきた双子に、ジミーは困惑した表情で言いました。
「チェリィの具合が良くないみたいなんだ。先に帰っているよ」
チェリィを気遣いながらジミーは彼女の手を引いて歩いていきました。
家への帰り道でジミーは何度もいたわりの言葉を掛けてくれましたが、チェリィは必死にジミーの手を握りながら、ただただあの少女のことを考えて身震いをするばかりでした。
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