1 不思議な卵

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 そんなこんなで過去の出来事に思いを馳せていた一行ですが、このやり取りは思わぬ形で破られることになりました。 「助けてください!」  悲痛な声と共に茂みの中から人が飛び出してきました。  質の良さそうな青い法衣をまとった若い女性です。神官と思しきファッションのその人は、大きく膨らんだ袋を抱いていました。  法衣はあちこちが擦り切れてぼろぼろで、この女性もかなり疲労しているようです。三人が慌てて女性に駆け寄ると息も絶え絶えに彼女は言いました。 「お、お願いします、助け」  がくりと女性はその場に蹲ってしまいました。 「ちょっと、しっかりして!」 「こ、これを」  かすれた声。チェリィは耳をそばだてます。 「これを、エイミー様に」 「えっ?」  女性はそのまま気絶してしまいました。 「どういうことなのかしら?」  チェリィは困惑しました。  今確かにこの女性はエイミーの名を、チェリィの母の名を呼んだのです。  ひどいケガはしていないようですが女性は固く目を閉じています。ともかく彼女を村の病院へ運ぶのが先決でしょう。 「この人、お母さんになにを渡すつもりだったんだろう?」  気になったので勝手に袋を開けてみると、出てきたのは綺麗な色をした卵でした。スイカくらいの大きさはあるでしょうか。こんな大きな卵を見るのは初めてです。 「なんの卵かしら?」  そこでがさがさと茂みをかき分ける音が聞こえてきました。  ほどなくして近くの草むらから現れた人達の姿を見て、チェリィ達は戦慄します。 「やっと見つけたぞ」  登場してきたのは赤いローブを身にまとったいかにも怪しい人達です。
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