6 ある少年が見た光景

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6 ある少年が見た光景

 当然のことながら、みらくる村では子供達がいなくなったことで大騒ぎになっていました。  家出なのか誘拐なのか事故に巻き込まれたのか、なんの手掛かりもない状態の中で大人達は気をもんでいましたが、ある日チェリィ達から手紙が届いたのです。  チェリィからの手紙にはブラウンさんや双子と楽しく暮らしているということが書いてあり、ジミーの手紙にはこれまでの出来事やこれからの予定が丁寧に書かれており、レインが父に宛てた手紙には一言「捜さないでください」と書かれているだけでした。  彼のだけ本当に家出した人の手紙っぽいので父は打ちのめされましたが、ともかく子供達が無事だということがわかって村の皆はホッとします。 「いやー良かった! 子供達に怪我はないようで安心しましたな」  雑貨屋の御主人ことジミーの父にそう言われ、エイミーも朗らかに頷きました。  ただ一人ソワソワしていたのはレインの父親で、聞くところによるとあと数日もしたら昔出て行った元奥さんが久しぶりに村に戻ってくるとのことなのです。
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