6 ある少年が見た光景

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 ブラウンさんのお店は営業中でしたが、今はお昼時も過ぎてお客さんはまばらです。  小さなお客様はお店のカウンターでジュースを飲んで待っていました。  なんかぼんやりとした感じの鼻たれの少年で、チェリィ達よりもずっと年下のようでした。  双子は暇な時に近所の子供達を集めて勉強を教えているらしく、この子も双子の勉強会に参加している一人です。 「こんにちは、あなたドラゴンについてなにか知っているんですってね」  チェリィはかなり愛想よく尋ねました。 「お姉ちゃんここの店員さん?」 「ただの居候のチェリィよ。よろしくね」  チェリィは鼻たれ少年と握手を交わしました。彼の隣の席に腰掛けたアミンカが話を促します。 「そろそろあなたの話を聞かせてちょうだい。あなた先日、ドラゴンの姿を見たと言っていたわね」 「うん。あのね、僕ね、ドラゴンなんて見たの初めてだったんだ。すっごいビックリだよ」  チェリィも双子やブラウンさんからこの国のドラゴンについて色々学んだので、少年がとても珍しい体験をしたのだということがわかりました。  人々の前にドラゴンが現れるのは特別な時、すなわちドラゴンが神殿の巫女に卵を託す時くらいです。  ドラゴンの卵は他の動物の物とは違い人々の祈りの力によって数年の時間を掛けて育っていきます。  今チェリィ達が持っている卵は二年くらい前、シルヴィアの前の巫女の時代に託された物だそうです。  ドラゴンはどこからともなく現れて神殿の前に舞い降り、そして卵を託したら颯爽とどこかへ飛び去ってしまうので、彼らが普段どこでなにをしているのかは誰にもわからないのです。  ところがこの子は特別な時でもないというのにドラゴンの姿を見たと言うのです。 「この前森を歩いていたんだ」  鼻たれ少年が語り出しました。  のんびりとした口調なのと語彙力が足りないせいか長々とした話になりましたが、かいつまんで言うとこうです。
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