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森の中には子供達の為のアスレチック場があり、そこから少し歩いて行った場所にとても綺麗なお花畑があったのだそうです。
彼は、はてと思いました。
だってそこには本来そんな場所はなかったはずです。見たこともない種類の花がたくさん咲いていて、空中にはキラキラした光の粉のような物が舞っていたそうです。
不思議に思ってお花畑を奥へ奥へと進んでいくと、やがて彼は大小さまざまなドラゴンが暮らしている谷へ辿り着いたのです。
でっかいドラゴンは木よりも大きく、小さいのだって大人の背丈くらいはあったそうです。
おっかなびっくりしながらも彼はドラゴン達に見つからないようにそうっと奥へと忍び込んでいき、やがて白い柱が何本も立った神殿の跡地みたいな場所を見つけたのです。
「そして僕は、とんでもない物を見てしまったんだ」
そこで彼は一息つくと意味深な表情で紅茶を一口すすりました。鼻たれのくせに小生意気な演出です。
アミンカは首を傾げて尋ねました。
「とんでもない物とは一体なんですの?」
「そっちの質問に答えてあげるんだから僕の質問にも答えてよ。こう見えても僕は多感なお年頃だから知りたいことがいっぱいあるんだ」
「まぁ! おやつをご馳走したら全部話してくれるという約束だったでしょう」
アミンカはお説教モードに入りましたが、チェリィが止めに入ります。
「まぁいいじゃない、なにを聞きたいの?」
「うん。あのね、そっちのお兄ちゃんが巫女様にセクハラしたって本当?」
鼻たれ少年はリューインの顔を見上げて言い、他の皆も彼に注目をしました。
「え、リューインどういうこと?」
「ごごご、誤解だってば!」
どうやらこの子は先日の出来事について言っているようです。
巫女が突然叫び出して一人の少年が神殿からつまみ出されたという話はあっという間に広まりました。
一体彼は巫女になにをしたというのか。
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