6 ある少年が見た光景

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 噂は噂を呼び、やがてリューインが巫女に失礼なことを言ったからあの騒ぎが起こったのだと言う結論に落ち着いたのです。 「ママ達が言ってたよ。その人が巫女様のブラジャーの色を聞いたから大騒ぎになったって」 「聞いてないからねそんなこと!」  リューインは必死に言いましたがチェリィは聞いていません。 「やだーリューインったらいやらしい!」 「そ、そんなこと言わないの、リューインさんも思春期だから仕方ないんだよ!」  ジミーはなに一つフォローになっていないことを言いました。 「なんて破廉恥なの、見損ないましたわ!」  アミンカも顔を真っ赤にしてぷんすこし、彼の弁解をまともに取り合おうとしません。 「お前もっと別の質問ないの? 多感な時期ならもっとまともなこと聞くべきだろ!」 「あ、そうだあのね。もういっこあるんだ」 「おう」 「んっとね、ボーイズラブってなに?」 「なんてこと聞いてるんだお前は!」  とんでもない質問をぶつけられてリューインは叫びました。 「最近ママ達の間で流行っているんだって」 「お前のママなんなんだよぉ! 子育て中のマダム自重しろ!」  一人であたふたするリューインを見てチェリィ達は不審に思いましたし、どうやら自分以外に誰もこの言葉の意味を知らないのだということを悟ったリューインは困りました。全力で困りました。  この問いに匹敵するほどのなんとなく答えづらい質問は「赤ちゃんってどうやってできるのー?」くらいでしょうか。 「もぉー、いい年して子供の質問にもまともに答えられないなんてダメなお兄ちゃんだなぁ」  鼻たれのくせに生意気な口を叩いてくる少年です。
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