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「ぐぅっ」
なにか手はないのだろうかと思案していたその時、突然何者かがローブの人に攻撃を仕掛けました。
さっきまで気を失っていた女性が魔法で敵を攻撃してくれたのです。途端にチェリィ達は体がフッと軽くなるのを感じました。
「早く、早くそれを持って逃げて!」
女性は叫びました。
「生意気な!」
ローブの人が腕を振るうと、風の魔法で女性はばしんと弾き飛ばされてしまいました。
チェリィ達はどうにか立ち上がることができたけれど、さっき喰らった魔法のせいか足元がふらふらしてうまく走れません。
この状態でどこへ逃げろというのでしょうか。
「!」
その時思わぬ事態が起こりました。チェリィの抱えていた卵がまばゆい光を放ったのです。
「わわっ、なになに?」
そして卵から放たれた光がひゅんと伸びていき、その先に光り輝く扉が現れました。不思議な扉に一同は戸惑います。
「どどど、どうする?」
かなり躊躇した様子のジミーですが、チェリィとレインは彼とは対照的に一瞬で腹をくくりました。
「考えている場合じゃないでしょ!」
「どうせ他に逃げ道はないしな」
イチかバチかやってみるしかありません。チェリィはおろおろしているジミーの手を引っ張って扉の中に飛び込みました。
三人がくぐった途端、扉は大きな音を立てて閉じ、その場から消えてしまうのでした。
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