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2 ドラゴンの国
【ドラゴンの国】
ここはリングヴァルデという名前の国だそうです。
ハートロウズから遠く離れた場所だとか、ドラゴンに守られている国だとか、この国は今危機的な状況にあるとかなんとかいう説明がさっきから延々と続いております。
いきなりのことで頭真っ白なチェリィ達は、三人揃って草の上に正座しながら頑張ってドラゴンさんの話を聞いていました。
「今この国に悪しき存在が牙をむこうとしているのだ、奴らを見過ごしてはおけん。どうか力を貸して欲しい」
厳しい顔つきでドラゴンさんはチェリィ達に頼み込んできましたが、それまでおとなしく話を聞いていたレインがおもむろに手を上げました。
「それ被害妄想とかじゃなく?」
「事実だ」
命知らずなのかなんなのかレインはかなり失礼な質問をぶつけましたが、ドラゴンさんは怒った様子も見せません。
こんな田舎村の子供三人になにを期待しているというのか、他に頼れる相手はいなかったのだろうかと一同は怪訝に思います。
なぜかセンターに座っていたジミーもおずおずと挙手をしてドラゴンさんに尋ねました。
「この国に牙をむこうとしている存在とは一体何者なのでしょうか?」
「赤いローブを身にまとった集団だが、奴らについて詳しいことはわからぬのだ」
今度はチェリィが手を上げました。
「あたし達、赤いローブの人達に襲われたの。ていうか、この卵を持っていた女の人が襲われていたんだけど」
「うむ」
なにか事情がありそうな様子でドラゴンさんは頷きました。
「それはドラゴンの卵だ。その卵から孵化するドラゴンは特別な存在であり、悪しき者達はその力でなにか邪悪な企みをしているのだ」
「具体的にどんな風に邪悪なことを企んでいるの?」
「知らん」
なんて頼りないのかしらとチェリィは文句を言いたくて仕方ありませんでしたが、こんなでかい相手にそれを発言する度胸もなかったので空気を読んで黙っていました。
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