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桔平は春休み中の大学に来ていた。
今日は、入試の試験監督のバイトをすることになっていたのだ。
「おー堀越、お前のその無駄に高い身長を見るの、久しぶりな気がする…また伸びたか?」
親友の桜田も一緒だ。
バイトが終わったら、他何人かと一緒に久々に遊ぶ約束をしている。
「バーカ、伸びるかって。そもそも久しぶりって、1週間ぶりぐらいだろ」
桔平は笑って返した。
桜田は、そんな桔平に、一瞬変な顔をする。
「なんだよ、俺の顔なんかついてる?」
「…目と鼻と口がついてる」
すぐにお約束的な答えが返ったから、気のせいだったのかな、と桔平は笑いながら突っ込んだ。
「小学生かっ」
桜田も笑ったものの、少し複雑な心境だった。
ちょっと見ない間に、彼の親友は妙な色気が駄々漏れている気がする。
それは、きっと、あの男がそうさせているのだ。
遊佐、というその男が、恋人なのだと打ち明けられたのはほんの1ヶ月ぐらい前のことだ。
恐ろしくハイスペックらしい顔もスタイルも完璧な男。
桔平は、桜田に「キモッ」と言われるのが怖かったらしく、同性の恋人がいることを話せなかったと頭を垂れた。
実際、いくら相手が恐ろしいほどの美形でも、同性とそういう関係になるということはキモッと思わなくもないけれど。
それが桜田と桔平の友情には全く関係ないことなのだから、と桜田はその事実を意外とあっさり受け入れることにしたのだ。
それに。
桔平の恋人は仕事の都合上、たまになんだか犯罪くさいトラブルに巻き込まれることがあるらしい。
そして、そのトラブルに桔平も巻き込まれる可能性が否定できないというのだ。
大事な親友を犯罪紛いのトラブルに巻き込ませるわけにはいかない。
だから、彼は、大学にいる間の桔平の見守り役をかって出ることにした。
なんかちょっと遊佐の秘書だという男にうまく丸め込まれた感もなきにしもないけれど。
何かあったときは、その川嶋とかいう秘書に連絡をすることになっている。
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