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桔平は、チョコレートでベタベタになった全身をなんとかシャワーで洗い流して、ベッドの上にくたりと横になっている。 身体の中まで甘い味がしそうなほど全身どこもかしこもチョコレートをまぶされた気がする。 そして、それを全部遊佐が舐め取ってくれて……。 遊佐は甘いものはそんなに好きそうでもないのに、相当な量のチョコレートを摂取したのではないだろうか? 気分が悪くなってたりしないか、ちょっと心配になる。 そんな心配は、しかし必要なかったようだ。 遊佐はすごくご機嫌に浴室から出てきた。 その手には、先程交換したプレゼントを持っている。 遊佐がくれた桔平のものと、桔平があげた遊佐のもの、両方だ。 「さて、何が入っているのかな」 遊佐がくれた小さな包みの中身は、シンプルだけどスタイリッシュな使いやすそうなボールペンだった。 アルファベットが刻んであったから、イニシャルを入れてくれたのかと思ってよく見ると、“T to K”と刻印されている。 忠仁から桔平へ。 桔平は思わず息を止めた。 ものすごく嬉しい。 普通に自分の名前が刻んであるよりも、ずっと。 ボールペンをぎゅっと胸に押し当てて、遊佐を見た。 遊佐も、桔平からのプレゼントを開けている。 こんな素敵なプレゼントな対して、すごく残念なものをあげてしまった気がする。 開けないで、とつい言いかけたが、そのときにはもう中身が晒されていた。 遊佐が驚いた顔をしている。 まさか、そんなものを貰うとは思っていなかったのだろう。 彼の手に握られているのは、2枚のチケット。 お馴染みのネズミのキャラクターが楽しそうに笑顔を振り撒いているイラストの描かれたそれは、もちろん日本人で知らない人はいないであろうあのテーマパークのパスポートだった。 「その、遊佐さんはそういうところ行ったことないかなって思って」 だから、一緒に行ってみたいかもって。 言い訳するように早口でそんなことを言う桔平に、遊佐は心の底から嬉しそうな笑顔になる。 「君は本当に私を喜ばせる天才だな」 クリスマスのときといい。 「こんな嬉しいプレゼントはなかなか貰えない」
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