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喜んで貰えたとわかって、桔平は安堵する。 それから、彼も大事に胸に押し当てているプレゼントのお礼を言った。 「遊佐さん、俺も、これすごく嬉しいです」 「就活が始まると言っていたから、良いものを使うといいと思ったんだが」 言いながら、遊佐は、少し不本意そうだった。 「少しありきたりなプレゼントだったな」 桔平がくれるサプライズには全然釣り合わない。 「そんなことないです!就活、これ使ってたら、遊佐さんが力くれる気がして頑張れそうだし」 そう言い募る桔平に、ふと遊佐は微笑む。 「君にもう一つ受け取って貰いたいものがある」 彼はベッド脇のサイドテーブルの引き出しを開けた。 「本当はもっと早くこれを渡したかったんだが」 取り出したのは、小さな皮張りの箱。 まるで、そう、アクセサリーケースのような。 アクセサリーケースのような? その中に入っているものの予感に、桔平がまさか、と思った瞬間。 遊佐が、端に腰かけていたベッドから下りて、床に片膝をついた。 「桔平、一生私の隣にいてくれないか」 まるで、映画の中の王様のようだ、と桔平はぼんやり思った。 いや、目の前で自分に求婚している相手は、それまでに見たどんな映画の王様よりも美しく気品があり、絶対的なオーラをまとっている。 そんなひとが、こんな平凡な大学生なんかに跪いて彼の返事を待っているのが、本当に不思議だった。 「俺なんかでいいなら」 なんだか夢の中の出来事のようだ。 全然現実味がない。 そう思いながら、桔平は、そっとその小箱を受け取った。
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