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高すぎず低すぎず、しかもメーンの花を引き立つ様に脇に地味な花を無意識に近い状態で束ねていた。何も考えてない様に手が自然に動く、これには鹿能も脱帽した。
「鹿能、お前もう花作りはええさかい白井はんと一緒にホールへ設営に行って来い三山と西野で花作っとくさかい」
「そやけどこっちにも人手いるンちゃうでしょうか」
「取り敢えず今朝の注文はここまでやが会長の悲報でこの先増えると思うが鹿能、お前は今日は搬入を手伝え」
社長にそう云われて鹿能は店を出た。
軽トラのハンドルを握る鹿能はそんな大会社の会長がなぜ庶民的なアルファ葬儀社で葬式を行うのか合点がいかなかった。
「白井さん、そのいろは商事って云う会社がなんで白川ホールみたいなとこで葬式しゃはんのですか、普通なら大寺院を借り切って社葬にしゃはるのじゃないんですか?」
「お前は会長の人となりを知らんさかいや」
「そんな古い伝記やニュースになってない人なんて知る訳ないでしょう」
「今の若いもんは表に出へん業界なんて知ろうとせえへんわなぁ。そんなことでどないして起業家になれるんや、お前以外もそうやが今日が面白かったらええっちゅう連中ばっかりやさかい立花はん嘆いたはるでぇ」
「社長いつもバカッ話しかしゃらへんけど」
「立花はんはあれでいて若い頃は生け花の新たな流派を挙げようとした事もあったんやで」
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