第二章

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「それが財産を相続する条件になっているんです」 「全財産を」 「ばかねぇ法定相続人の取り分をかなりカットして相続させるんです」 「それでもかなりの額でしょうね」 羨ましいと嫉妬の眼差しを向けたが彼女は急に表情が落ち込んだ。 「と云う事は相手はもう決まってるんですね」 「決まってません!」 彼女はきっぱりと否定した。 「決まってませんが期日を指定していれば同じ様なものです」 「生前なら解りますがもうすでに亡くなられてからの急かす意味が解らないですね」 「だから遺言なんですよ」 「言われてみればそうですが観たところ面長(おもなが)、いや清楚な顔付きで派手な浪費癖は全くない人ですから定期預金のつもりで預けたのではないでしょうか?」 「鹿能さん言っておきますがあなた一言多いです、何処が面長な顔なんですか。まあそれはひとまずおいても私に預けても利子が付かないでしょうにその解釈は当てはまらないでしょう」  「そうでもないですよ人は纏(まと)まった物を手にした場合、投資する金と目減りしない様にタンスに仕舞う金とを分けるでしょう。身体で云うなら食べた物はエネルギー源と飢饉の為に残す脂肪として蓄える」     
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