第二章

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「鹿能さんあなた仰ることは確かでも例え方が悪すぎます。あなたの説明ではあたしはタンスか脂肪なんですか」  言葉とは裏腹に目元は笑っている。それで彼は気を良くした。 「気に障りました?」 「まあいいけど。それよりはあなたの仰る定期預金は言えてると思います」 「奥さんと息子さんにも問題はないのになぜ飛び越して孫娘にまで遺産を分ける必要があるか。この何の為の定期預金かを。それを解決しない限りこの問題の根本がぐらついてしまうと思うんですが・・・」 「やはり金には無頓着なあなたに相談したのは正解でした。これだけの大金を祖父が別枠で与える意味を良く考えなさいって云う意味が込められてるのね」彼女は皮肉っぽく「あなたの云うタンスか脂肪には」と付け加えた。彼は苦笑いを浮かべた。 「期限を切っているのはそう云う相手を見越しているんでしょうね、でなければ何がなんでもこんな荒唐無稽な遺言は書かないでしょ、奈美さん現在付き合ってると云うかかなり親しいそれもおじいちゃんも気に掛けてる相手が居るンでしょう」  鹿能に不安はあったが確かめずには居られなかった。 「付き合ってる人は居ますが結婚するがどうかまで決めていませんから」  鹿能はこれでひと息つけると余裕を持って意見出来た。     
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