第二章

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「成る程その辺におじいさんの意図が隠されているんですね」 「あたしの気持ちも考えないでそんなの身勝手過ぎる、それなら二人の姉に託すべきでしょう」 「お姉さんたちは遺産を生活費か子供の事に考えるでしょう。灯台下暗しで両親や本人より距離を空けて見られたおじいさんだからこそあなたを選んだ。でおじいさんはどう観ていたんでしょうねその相手を」 「そこが見込み違いだと思うんです。あの変人のどこに託すんですかあの子のお母さんなら別ですけど、最も早くに亡くなられた人ですけど」 「じゃオーバラップしてその息子さんに重ね合わせてるんでしょうか」 「冗談じゃないわあたしの気持ちを何だと思ってるんでしょうね」 彼女は怒りを発散させた。 「それでも年季の入ったおじいさんの見識ですからねぇむげにも出来ないじゃないんでしょう。後はお相手ですが、その人を観ていても仕方が無い、馬には乗ってみよ人には添うてみよっていいますからねぇ」 「全く軽い人ですねぇ」そう云ってちょっと間を持ってから怪しい瞳で「それじゃあなたにも当てはまるじゃありません」と彼女が言った。 彼は人ごとと軽く流していたのが急に澱みにはまり込ん様に慌てた。     
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