第二章

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「いけませんか。解れば人生が面白くないでしょうだから常に死と向かい合わせなんです」  この人は何処までが真剣なのか解らない。 「話しそこまでにして下さい結論を言います」 「はい」 鹿能は突然の打ち切り宣言に戸惑ったが、これでは彼女がやって来た本当の意味が飲み込めなかった。 「そんな情け無い顔しないで聴いて下さい。紹介状を書きますから祖父の顧問弁護士の佐伯さんに会って最近の片瀬のことを聴いてほしいんです」 「言ってることが良く分からない、他人じゃない人なのに人を介して聴くなんて可笑しいですよ。彼は何者なんです」 「私が言えば可笑しな感情が入るから中立公正の岩佐さんから訊いてほしいの、ついでに知ってる限りの祖父の事も」 「それは奈美さんの方がいいんでは」 「あの人、嫌いなんです第一弁護士ほど信用出来ない人はありません」 「でもさっき公正中立って言いましたよね」 「アらっそんなこと言ったっけ。でもつべこべ言わずに行って下さい頼みましたよ」 「ハァ」 そんな情け無い声を出さないの! と発破を掛けられてしまった。  中京の御池馬場通りを上がった所に佐伯法律事務所は有った。 インターホンを聴いた女性の事務員が鹿能を部屋へ案内した。     
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