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「失礼ね、それじゃあそれまではわたしそんなに老けて見えまして!」
物言いは穏やかじゃあないが目許は笑っていた。
「いや二十代に見えますけど十代って事はないでしょう」
「当たり前ですそんな子供に見られるなんて」
「そんな滅相もない、・・・年上って事はないでしょうね」
「鹿能さん、妙齢の女性に歳を訊くもんじゃありません」
「妙齢っねー」
「何が可笑しんですか、それに何よその物言いは・・・あたしが歳を誤魔化してるとでもおもってるの」
「と云うかまだ訊いてませんが」
「あら、そうだったっけ」
しらばっくれてと彼は目を細めた。
次の日、鹿能は立花園芸店に出社した。
立花園芸店社長立花は四十代後半の脂の乗り切った男である。店はアルファ葬儀社へ献花を納めている。従業員はバイトも入れても七名ほどだった。
アルファ葬儀社は市内近郊に九ホールの葬儀専門の会館を営業していた。その内立花園芸は四カ所のホールを任されていた。
出社すると朝から献花作りに繁盛していた。
「おはようございます、今日は朝から大量の献花作りですか」
「おっおはよう、昨日(きのう)はなんやずる休みか」
社長は笑っていた。
「いや、その、まあしんどかったんです」
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