1人が本棚に入れています
本棚に追加
「もう気づいたんじゃないか?」
村山は真剣な面持ちで僕を見ていった。僕はぼんやりと浮かんだある仮説を心のなかに押し殺して村山が話す続きに耳を傾ける。
「このサイト、白いクジラにある動画には必ずその投稿者がいる。そして投稿者の中には、複数の動画を投稿している者がいる」村山の息遣いが荒くなる。
「動画投稿者は自殺動画をアップすることで広告収入を得ている」僕は今までの話から自然に導き出された推測をぼそっといった後にまた自分でハッとした。
「大久保を自殺に導いたやつがいるってことか?大久保はそいつに殺された!?」村山は僕の投げかけた疑問に微動だにせず、こちらを見ている。
「いいか佐藤。大久保の死体は崖の下で見つかったはずだった。でもこの動画では大久保は首を吊って自殺している。この動画は一体誰が投稿したと思う?どうして大久保の死体が崖の下に移動したと思う?」
僕は大きくつばを飲み込む。
「何か匂うんだよ。大久保の死にはわからないことが多すぎる」
一瞬あたりに緊張が走ったような気がした。
「それで、だからって一体どうするつもりなんだ?」僕は周囲の目を気にしながらヒソヒソ声で聞く。
最初のコメントを投稿しよう!