イルカ

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「あそこ?」すぐに自殺前の立ち位置のことだと気づき移動する。  ちょうど踏切が降りた。右側から電車が走ってくるのが見えそのまま通り過ぎていく。あの勢いの中に飛び込むのには相当な勇気がいるなと僕は思った。電車に轢かれて死ぬなんて最悪だ。体がぐちゃぐちゃになる。痛いなんてもんじゃないだろう。そうまでして死んでもいいほど生きているのがつらくなったということか? 「どうだった?」カメラを構えていた村山のところへ戻る。 「いや、やっぱ何も分からなかった」手がかりが少なすぎると僕はおもった。  待っていれば犯人らしい人物が来るかもしれないと思い、近くにあったファミレスに入った。張り込みというと大げさだが、少し楽しい気がした。 「ご注文はお決まりですか?」とごつめのちょび髭を生やした店員がいった。  アルバイトだろうか?かなりがたいがよくお世辞にもこの店に似合っているとはいえないその風貌を心のなかで少し笑った。 「あ、コーラのSで」 「じゃおれコーヒー」  窓側の席に座ったら踏切がよくみえた。 「あの、あの踏切ってよく人身事故とかあるんですか?」 「人身事故?あー確か3ヶ月前くらいにあったかもしれないですね」  3ヶ月前といえば村山に見せられた女の自殺動画がアップされた頃だ。     
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