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「・・・ふーん」と萠が若干納得したような反応をみせて、少しほっとした。
どうしてミステリー小説が好きなのかは言及しなかったが特別聞かれなかったのでいわないことにした。
「そんなの目指したってなれる保証なんてどこにもないだろ?」と村山がいった。
「なれなくてもいいんだよ」
「金はどうするんだよ。金がなけりゃ何もできねえよ」
「おれは今自分がやりたいと思うことをやりたいんだよ」そう言ってコーラをストローから吸う僕に対して、
「ばっかじゃねえの」と村山がぼそっといった。
「おれさ、アメリカ行くから」村山がコーヒーにミルクを入れながらいった。
「なんで?」
「転勤だよ。入社して1年間の成績が認められたんだ。来年からアメリカの本社で勤務する。年収も一気に3倍近くになる」
「お前の会社の3倍って2千万はくらいか」と適当に言ってみると
「まあそれくらい」と村山が平然とした顔でいうので僕は驚いた。普通のサラリーマンとは桁違いだ。
「なにそれ、聞いてないよ」と萠が村山に突っかかる。
「いつ決まったの?」
「先週だよ」
「なんで一昨日会った時にいってくれなかったの?」
「色々あったんだよ」
「一昨日会ったの?」と突っ込む僕を無視して萠は続ける。
「色々って何?そんなに大事なこと?」
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