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「パッパーン!パッパカパーン!!最近なんだかよく眠れない、そんなことは無いかい?」突然大きな音で動画が始まった。
「何だよこれ」
「広告だ。問題はこの後だ」落ち着いた様子で村上はいった。
調子のいい動画広告が終わったと思ったらすぐさま別の動画に切り替わった。見覚えのある畳の敷かれた部屋。部屋にはびっちり分厚い専門書で並べられた本棚と机だけがあった。僕はこの、勉強のためだけに存在しているかのような部屋を知っている。動画が始まってすぐに1人の男が背中を向けて動画に映った。男は椅子の上に立ち、天井の方から輪っか状に作られたロープを垂らした。
「おい、これ」と僕がいうのと同時くらいに萠が村山の袖をつかむのが目に入った。
男が左右に回る椅子の上でバランスを保ちながらロープの輪っかを首にかけ手飛び降りた。吊られてくるっと半回転してようやく男の姿が明らかになった。
「キャ」小さな声で萠が悲鳴を上げた。
それは2年前に死んだ、大久保利彦で間違いなかった。驚いて萠の肘がメロンソーダを倒したのを見て村山はパタンとをパソコンを閉じカバンにしまった。
「こぼしちゃったからお手拭きもらってくるね」といって萠が席を立った。
「でもなんでこんな動画が上げられてるんだ」ふと頭によぎった言葉が無意識に出た。
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