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「そこじゃねえだろ」少しムカついた様子で村山がいった。
「そこじゃないって?」
「大久保がどうやって死んだのか思い出せよ」
「あっ」大久保は岸から身を投げだして死んだはずだった。
「警察が嘘をついてたってことか?」
「分からない。おれらは大久保の死体を警察が岸下で見つけたって話を大久保の親からきいただろ?」
「ああ」内心はまだ疑問でいっぱいだったがとりあえず村山のペースに任せることにした。
「大久保の親は大久保の死体を確認したと思うか?少なくとも僕らは見てないよな」葬式の場に用意されていたのは大久保の遺骨だけだった。
「大久保の死体にはこの首吊り自殺のロープ痕が残っていたはずなんだ。その話をまったく聞かされなかったのは何か引っかかる」
「実はこの自殺は失敗してて、後で岸で飛び降り自殺したとか。ロープ痕の話もわざわざすることじゃないし」と僕がいうと
「かもな」と村山は小さな声でいって、もったいぶったような口調で話を続ける。
「警察が嘘を付いている場合。大久保の親が嘘をついている場合。警察と大久保の親が協力して嘘をついている場合。警察も大久保の親も嘘をついていない場合。仮設はシンプルにこの4つだ。お前がいってるのはこの4番目のパターンのときな」と村山がいった。
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