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紗弓とクロは時刻表の中で耳を澄ませていた。 車内放送によるとあと一駅で目的の駅に着くようだ。 (あと少し……) 駅を聞き洩らさないように、紗弓はじっと辺りの音に集中する。 「――でもさ、君の家の近くの駅についたからってどうやって降りる気?」 ふと気になったのか、クロは紗弓に尋ねた。 「それは……運、だけど、少しだけ当てがあるんだ」 紗弓は時刻表を覗き込む男を見上げながら言った。 訝しげなクロが何かを言いかけた時、とうとう電車が目的の駅に停まった。 「あ、ちょっと、降りていいか? 写真撮りたいから」 「しょうがないな。……早くしろよ」 時刻表を小脇に抱えながら男が電車を飛び出す。 (やっぱり!)
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