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〈ガサガサガサ……〉
〈ドンドン……〉
〈ド──ン!〉
「ふん、どうやら、痛みで狂乱して死んだようじゃな、この男。わらわの主人の生まれ代わりだと思っておったが。これぐらい死ぬようでは、わらわの勘違いであったかもしれんな?
う~ん、まあ、よいわ……さてさて、これからどうしたものかの?
このまま、こやつを放置する訳にもいかんし。かといって食してやると、奴には申したが。愛する主人と同じ容姿を持つこの男を本当に食する訳にはいかんからな……
と、言う事は、燃やしてしまうかの、この死体を。まあ、無難にそうする方が良いかもしれん。だから灰にして土に返すとするか、これが一番良いかもしれん……
でもまあ、最後に、この男の顔を蹴ったのは、良くなかったかもしれな、わらわの愛する主人と同じ顔だから……」
「であるな、フレイヤ……」
「えっ?」
「え" ではないだろう、フレイヤ……俺の声を忘れたのか?」
う~ん、まあ、このバカ女房だけは、俺の生まれ代わりでもある、悟の体を好き放題バラバラにしてくれちゃったみたいだね。だから案外 我慢強い俺でも流石に痛わ、あちらこちらがね。
でもまあ、痛いのは少し我慢して、早く女房に治させるよ、この体を。
そう思って、妻のフレイヤに声を掛けたのだが。このバカ女だけは。
「えっ? 貴方どこ?」
「何処って、お前の足元だよ。早く拾い集めろ、バカ──」
「バ、バカって、貴方は……あ、あの、わらわに拾い集めろと、述べているけれど……も、もしかして、この男は本物貴方だったの?」
「ん? あああ、そうだよ、フレイヤ。俺では悪かったか?」
「い、いや、そんな事はないけれど……」
「あああ、そう言えばお前は、先程まで俺ではないと思っていたんだよな?」
「えっ? あっ、うん、ごめんなさい……」
「別に謝らんでもいいから、早く、俺のパーツを集めて、体を治せ」
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