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「じゃ、早く治せ、フレイヤ……でないと、悟の意思が戻りそうだから」
「えっ、あっ、はい、分かりました、貴方……直ぐにパーツを集めて治しますね」
「う、うん、頼むよ、フレイヤ……出来れば、また悟の意思の中に戻る前に。お前に甘えたいから……」
俺ね、妻に嘆願をしたんだよ。悟と俺の意思が完全に同化するまでは、俺は自分の妻を味わい堪能する事が出来ないから。出来れば俺の意思がある前に、神話の時代以来になるが。夫婦の営みを行い交わってフレイヤ堪能したいと思うんだよ。
だから妻に早くしてくれと嘆願したのだが。
「で、では、貴方……わらわを叱るのではなくて、可愛がってくれるのですか?」
「あああ、そうだよ……嫌かフレイヤ? 俺に甘えられるのは?」
「うぅん、そんな事はない、そんな事は……わらわも、貴方をずぅっと探していましたから……それに、やっと逢えました……できれば、もう二度と離さないでください、貴方──わらわを」
と、俺の上半身から切れて離れた──両手を魔力を使用して貼り付けながら、潤目で嘆願してくる。
そんなね、妻の様子を見たら。死ぬに死ねない……って、あああ、生まれ変わったんだ。でもさ、完全に悟の意思と俺に意思とが重なり合って同化するまでは一度、愛する女房とお別れなんだよ。
だから、本当に辛いよ……
あっ、そうだった、これだけは、フレイヤ《あいつ》に注意しておかないといけないね。
「おい、フレイヤ?」
「……ん? わらわ何か用ですか、貴方?」
「あのな、昔っから、何度も言っているとは思うが?」
「えっ? はぁ、何でしょうか?」
「そのな、"わらわ"と、自分の事を述べるのやめろ、解ったか?」
「あああ、そうでした、すいません……ちゃんと今から私と、お上品に述べますね……」
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