第始章

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「はひぃ......はひぃ......ほんと、 死んじゃう、 かも」  この死を予見させそうな見た目の女の子の名前は、 ルチル・ハーバーグ。  そして何故このルチル・ハーバーグという女の子が死にそうになっているのかと聞かれれば、 答えは簡単。  とっても腹ペコだからだ。  三か月ほど前に水の都ととして有名なモモトト街という地元を出て、 乗り合いの馬車も使わず山を越えて谷を渡れば疲労だって溜まるもので、 その上、 昨日の朝から何も食べていなければ目だってクルクル回りだすのが常というもの。  それと言うのも、 前のウペペ村を出たのが五日前の太陽が昇る頃という早朝であり、 そこから目的地である高地の山村であるニペソ村までは街道を沿って行けば二日もかからないはずだったのが、 途中で道に迷ったお婆さんを見つけてしまってから道程に大きなずれが生まれてしまったのだ。
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