第始章

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『ちょっと道行くお嬢さん。 ウペペ村まで案内しちゃくれないかい?』  ウペペ村から二時間ほどかけて進んだ頃にそのお婆さんと遭遇したルチルは――しかし。 『道に迷ったお婆さん。 いいよ。 あたしが村まで一緒に行くよ』  と笑顔で引き受け。  次いでは。 『罠に掛かったイノシシが逃げ出したぞー』 『気を付けろ。 手負いだぞー』  今度こそ、 とウペペ村から四時間進んだところでこんな声が聞こえてきて――だから。 『いやー、 あたしが何したのよー』  とイノシシに追いかけられて森の奥深くへと逃げ込み。  最終的には。 『ひっく......うぇっく、 ココドコー』  と広大な森の中で遭難して右往左往している間に猿にからかわれたり、 熊に遭遇したり、 古めかしいお社の一部を破壊したり、 持っていた食料が無くなったりして、 今に至っている。
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