エピローグ

2/2
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/69ページ
 あれから1時間後、急造ではあるが新ネットワークシステムが完成し、そちらにコントロール機能が移設された。  最終的にどうなるのかは知らないが、ブログサイトOneは停止状態になっている。  後で聞いたところによると、瀬戸さんの友人の声優やタレントもブログなどで呼び掛けていたらしい。  阿部先生は、学校では相変わらず存在を否定され、覇気の無い授業を行っている。ただ、警察から度々出頭命令を受け、インターネット犯罪の撲滅に協力させられているとか。  拓郎は父親と少しは話をするようになり、家庭環境は改善されたらしい。しかし、適当で奔放な性格は変わらず、1週間に2度はコンパに誘ってくる。  当然、断る。  僕は相変わらず。  抑え込んでいた自分を解放し、勉強もするようにもなったが、直ぐに成果が出るわけではない。  あんなことでもなければ、僕たちは各々の本当の気持ちや、真実を知ることはなかったし、出会いもしなかっただろう。 「浩平、今日の放課後、コンパがあるんだよ。人数足りなくってよ、お前ちょっと来てくれねえか?」 「行かない。  面倒臭いし、興味がない」  何度同じ事を繰り返せば、分かってくれるのか。いや、もしかすると挨拶程度に言ってるだけなのかも知れない? 「浩平、ネットゲームばっかやらねえで、少しは付き合―――」 「あ、悪い、電話だ」  変わらないと言えば、この人もそうだ。誤解は解けたはずなのに、何も変わらない。 「もしもし」 「遅い!!さっさと電話に出なさいよね。私もヒマじゃないんだから」  瀬戸さん、ヒマでもないのに、いったい何で僕に電話してくるんだ? 「今日の放課後、校門まで迎えに行くから、映画に付き合いなさい」 「え?」 「え?じゃないでしょ。  今日はガブリエル・アリサの、劇場版第2弾の公開日よ。  行くのよ、私と。返事は?」 「はあ」 「返事は、はい、でしょ!!」 「は、はいっ!!」
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!