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いたのは、メガネをした冷静そうなたくましい男。
レーザー銃を、手持ちの機材で一眼レフカメラの形にしていた。
ウトサワーは、人と会話するのは5年ぶり。
この時、彼は大きくのけぞり、「俺は怪しい者ではない! 」と叫んだ。
遠く離れ星の知的生命体が、地球人とそっくりで、日本語で話す。
一見すると不条理。
しかし、宇宙モデルの研究により、その理由がわかっていた。
それは、まず未来があり、それが過去に影響するという宇宙モデル。
これを概念宇宙論と言う。
つまり、未来において日本語という概念が存在するから、過去の世界でそれを手にする知的生命体が日本の他にいてもおかしくない。という事だ。
久保田少年は話し続ける。
「ここはもう、警察とヒーローしか入っちゃダメですよ」
その時、衝突音が隣りのビルから響いた。
アプラーマーと同じ形。しかし灰色のPP社で広く使われているパワードスーツ、ドラゴンマニキュア。
灰色の装甲のヒーローが、着地に失敗して10メートルほどすべったのだ。
この時は、2人で笑った。
久保田少年は、これはチャンスだと考えた。
そして、自分の中にはもう一つチャンスが有るとも。
「事情を話すなら、今がチャンスですよ。何せ」
マスクを外す。
その下から現れたのは、モザイクで覆われた顔だった。
テレビなどで、映像にかぶせて何が映っているのか分からなくする、あれだ。
「僕は今、何者でもない」
ウトサワーは、再びのけぞった。
そして一言、「かわいい」とつぶやいた。
少年は、まず説明から始めた。
「この街には、ボルケーナという珍しい、すごい力を持っている女神の怪獣。神獣がいます。
こんな姿の」
スマホで撮った動画を見せた。
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