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ようやく足を止めたのは、帰宅途中によく寄り道した小さな公園だった。
公園と言うにはあまりにもお粗末な小さなブランコと砂場だけがぽつんとある場所。
俺はまだバクバク言ってる心臓を落ち着かせようと、錆びたブランコに腰を降ろした。
呼吸が荒い。
「あ……やべ」
下を見下ろして俺はため息をついた。
手に例の重いファイルを持ったままなのは当然として、なんと俺の足は上履きをはいたままだったのだ。
「う~ん。何やってんだ俺は……」
よほど慌ててたんだ。靴を履き替えることも忘れるほど。
ってか、そりゃそうだ。まるで逃げるように俺はあの場所から走り去ったんだから。
って、なんで俺、逃げたんだろう。
俺はぼんやりと薄曇りの空を見あげた。
邪魔したから?
二人の邪魔をしてしまったと思ったから?
だから俺は逃げた。文字通り逃げた。
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