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そして次の日、俺は部活を休んだ。
理由としては、喘息の妹の為、病院へ薬を取りに行かなければいけないから。
そうみんなに言っておいてくれと告げた俺に、同じバスケ部の部員である真田は一瞬だけ妙な顔をした。
ほら、嘘はすぐにばれる。
だって本当は薬を取りに行くのは部活を終えてからでもよかったんだから。その証拠にいつもはそうしていた。
「悪い。今日は勘弁」
片手を顔の前に立て、頭を下げた俺に真田は仕方ないなあといった表情で頷いた。
「キャプテンには直接言っておかなくていいのか?」
「いい」
本来であれば、休み報告は直接部長である椙田キャプテンかマネージャーに言うべきことだ。 でも、それでは俺にとって意味がない。
俺は、逃げたんだ。
昨日と同じ。俺は逃げたんだ。
なぜって。
俺は、椙田と顔を合わせる自信がなかったから。
キャプテンの目を冷静に見られないような気がしたから。
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