魔女の円卓会議

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魔女の円卓会議

一匹の鳥が、巫女の家の窓に止まった。 首から筒を下げており、それだけで伝書鳩だと察しがつく。 巫女はその筒を手に取り、ゆっくりと手紙を出した。 すると、どうしたことだろう。出て来た紙には何も書かれていない。 『白紙…? いや、魔力を感じるな』 「一種のプロテクトね。差出人は…炎使いのようね」 巫女はいつも使っている長い杖ではなく、定規くらいの短い杖を手に持った。 あくまで耳慣れない言葉をささやいているが、テレビの同時通訳のようにこう聞こえた。 「キョ・カイキュ…ソウ・ジ・キュウ…ヒツ・ジサル…」 巫女が呪文を唱え終えると、紙に文字が浮き出てきた。 どうやら、特定の魔法を使わない限り読むことができないようだ。 そこには英語とよく似た文字が記されていたが、不思議と読むことができる。 『魔女の会議か…』 「恐らく、マナに関してのことでしょう」 巫女は伝書鳩を見ると言った。 「出席すると伝えて」 伝書鳩は頷くと、窓から飛び去った。 巫女は受け取った手紙を丁寧に畳むと、小さな苗木にした。 「さて、何人くらい出席するのかしらね…?」
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