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ミノタウロスが自分の部屋に戻ると、ひとりの男がいた。
丈の長いチュニックと少し汚れたズボンを着ていたが、その目は鋭く特徴的だ。
「お帰りなさい、迷宮の長」
「思ったより遅くなった」
男はさっそく、ミノタウロスの差し出した上着を受け取った。
ミノタウロスほどではないが、彼の身長もかなり高い。
男は「おや…?」と言って白い毛をつかみ取った。
「ああ、実は今日…久しぶりに乗馬をしたのだ」
「乗馬ですか! この世界には長を乗せられるような大きな種類もいるのですね…」
男が目を丸々と開いたので、ミノタウロスは「いやいや」と前置きして言った。
「命の巫女殿が飼っているユニコーンだ。
そいつが特殊能力を持っていてな、我が触れると倍以上の背丈になるのだ」
「それは凄いですね…」
男は想像しようとしたのだろう。しばらく視線を泳がせたが、諦めてミノタウロスを見た。
「ああ、そういえば長…炎使い殿からお手紙です」
ミノタウロスは男から差し出された手紙を眺めた。
「魔女の円卓会議か。すまないがカネコ…近々また留守を頼むことになりそうだ」
金子は黙って頷いた。
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