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それから数日後、同じ伝書鳩が姿を見せた。
そこには具体的な日程や場所が記されていた。
手紙を畳むと、巫女は僕を見た。
「リュシアン…とりあえず貴方はお留守番していなさい」
僕は不機嫌を装いながらも心の中で笑った。
またとない脱走のチャンスだ。
魔女がどこに集まるのかはわからないが、会議中に抜け出して僕を探すことは出来ないだろう。
そう思っていたら、伝書鳩が甲高い声で鳴いた。
巫女は「え…?」と声をあげると、伝書鳩に向かって耳慣れない言葉をささやく。
少しやり取りをしたら僕に目をやり、再び伝書鳩と話をした。
巫女は短く返事をすると、部屋の隅から仮面を出して僕の顔に被せた。
『な、なにをする…!?』
「主催者がリュシアンの出席を望んでるの。
魔女の中には、目が合っただけで相手を操れる者もいるからね」
巫女はそう言いながら、自分自身も仮面をかぶった。
彼女は「では…」というと暖炉に手をかざす。
一般人なら、巫女が暖炉の前に異界のゲートを開いていると思うだろう。
実際は、あらかじめ用意されていたゲートを開いているのが真相だと思う。
僕がじっと見ていると、巫女は笑みを浮かべた。
「さすがはユニコーン。どこが出入り口かすぐにわかったわね」
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