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目を剥いて魔導師を眺めた。体中からじっとりと汗が流れててくる。
これほど得体のしれない恐怖を感じたのは何年ぶりだろう。
「正直者が企てなどするとロクなことにならんよ。
いいかい、まじめに巫女殿に仕えるのじゃ…それがお主の望みを叶える近道と心得よ」
魔導師はそういうと巫女を見た。
「とりあえず、このやんちゃユニコーンも同席させた方が良いじゃろ」
思わぬ提案に巫女も声を上ずらせた。
「よ、よろしいのですか!?」
「構わんじゃろ。お主の実力を認めさせるよい機会じゃ。
それに…怖いお姉さんたちをみれば、少しは大人しくなるじゃろ」
そう言うと、魔導師は「ふぉっふぉっふぉ…」と笑いながら去っていった。
一方、巫女は動揺していた。
まあ気持ちはわかる。大事な重役会議にペット同伴で出席するようなものだろう。
会議室に向かうと、そこには円形の机と8つの椅子が用意されていた。
すでに席についている者はひとり。
これほど清浄な気を纏える人間はひとりしかいない。
「聖王様!」
「おお、巫女殿か…早かったな」
巫女は聖女の隣に腰かけた。
「聖王様こそ、こんなに速くて驚きました」
「前々から魔導師殿から聞いていたのでな。予定を開けておいたのだ」
ドアが音を立てて開くと僕は驚いて聖女と巫女を眺めた。
聖女は一瞬でオーラを消し、対照的に巫女は敵対的なオーラを放っていたのだ。
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